親しい間柄ですか?
20 すべりこみセーフ
『ファーの試験登校期間が無期限で延長される』
知らせを受けた僕がナナミヤに着くと、ファーは制服姿で待ちかまえていた。駆け寄ってきた彼女に思い切り飛びつかれて、意外と重みがあることに気付く。ボディの内部はほぼ金属だから当然だが、今日はそんな些細な発見すらも宝物のようだ。
「私の脱走のおかげなんですよ」
「変なの。……元家出娘の言葉とは思えないよ」
「それなら、テスさんは家出の共犯ということになりますが」
妙に得意げなファーの笑顔に、僕もつられて笑う。
実際、彼女の言う通り、終業式翌日の『脱走』がこの結果に繋がったらしい。彼女の感情と行動のプログラムからすると完全にイレギュラーな行動に、研究員たちが興味を抱いたとのことだった。
ならば、これからは僕らの恋も研究対象となるのだろう。もっとも僕の中では、再びファーと過ごすことができるという事実一つで、そんな不安など帳消しにされているのだが。
彼女も同じようなことを危惧しているのか、やや顔を曇らせて僕に尋ねた。
「私は、あなたともっと親しくなることができますか?」
「うん。……これ以上ないって程に、ね」
僕の言葉に、ファーは笑みを浮かべて目尻を指で拭った。
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