親しい間柄ですか?
不良品 -Another Side-
再々点検でも異常なし。しかし、ラボの中では至って正常なのにも関わらず、登校すると中頻度でオーバーヒートを起こす。原因は不明。
緊急点検の結果が打ち出された紙を見て、私は今まで感じたことのない『心』が自分の中に膨らんでくるのを感じた。
もしもこのまま直らなかったら、私はどうなるのだろう。
当初の予定通り分解されて、分析に回されるのだろうか。
もともと一年限りの学校生活なのだから、たとえ今、退学したって構わない。少しだけ楽しいと感じ始めていたけれど、仕方がないことだ。私は機械だから。不良品なら、仕方がない。
――テスさんにも会えなくなるけれど。
そこまで考えたところで、まだボディに繋がったままだった計器から警報音が鳴りだした。確認すると、『高負荷』を示す赤いランプがせわしなく点滅していた。頬や首に手をやってみると、熱くなっている。冷却が追いつかないほどの熱だ。
人間で言うと、これは『病』なのだろうか。
原因不明で、治らない病気?
――分からない。そんなこと、私の中のデータにはないから。
エラーのアラームの音を研究員に聞かれないよう、私はそっと計器との接続を切った。